40代男性の声が老けて聞こえる原因と、電話で変わる話し方
去年の秋、取引先に電話をかけたら「お父様でいらっしゃいますか」と言われたことがある。息子の代わりに親父が電話に出たと思われたのだ。私は44歳で、息子どころか結婚もしていない。声だけで、実年齢より一回り以上上に見られた。
正直、かなり凹んだ。顔の老けなら鏡で確認できるし、髭や髪型は自分で直せる。でも声は自分では気づきにくい。録音を聞いて初めて「あ、こもってる」「かすれてる」と気づく類のものだ。この記事は、あの夜に私がスマホで検索した内容そのままを、自分なりに整理したものです。
老け声というのは、実はかすれ・こもり・震えの3種類
いわゆる「老け声」「フケ声」と呼ばれるものは、だいたい3つのパターンに分かれるらしい。かすれる、震える、こもって聞き取りにくい。この3つは全部、発声に関わる喉の筋肉の衰えが根っこにあるという説明が多い。
私の場合は「こもる」タイプだった。声のボリューム自体はあるのに、なぜか相手に「え、もう一度いいですか」と聞き返される回数が増えていた。口の開け方が浅くなっていて、音がくちの中でつぶれていたんだと思う。
40代から声が変わるのは、男女で逆方向に進む
女性は更年期以降、声が低くなってつやを失っていく人が多いらしいが、男性はその逆で、年齢とともに声帯を動かす筋肉が弱っていくことで、むしろ声が高く、細くなっていく傾向があるという整理を複数のところで見た。
低くドスの利いた声が出なくなるというより、芯がなくなってスカスカした高めの声になる。これが「頼りない」「弱々しい」という印象につながって、結果的に老けて聞こえる、というより「弱って聞こえる」の方が近い気がする。
喉頭の筋力が落ちると、声帯がしっかり閉じずに息が漏れる。震えやかすれもここから来る。原因は病気というより、単純に「使っていない筋肉が落ちた」というのが多くのケースの実態のようだ。
鏡の前でできる簡単なチェック
耳鼻科に駆け込む前に、自分でできる確認方法がある。鏡に向かって「いー」と声を出してみて、首の前に縦の筋が浮くかどうかを見る。筋が強く浮くなら、喉に力を入れすぎた発声をしているサインらしい。
私はやってみたら、思った以上に筋が浮いた。20年間、営業の電話で「声を張る」ことを喉の力任せでやってきたんだと思う。腹から声を出す代わりに、喉を締めて音量を出そうとしていた。これが「こもる」原因の一つだったと今は思っている。
もう一つ、あくびをするときの口の開け方を意識してみるのもいい。あくびのときは自然と喉の奥が開く。その状態で発声する感覚を覚えておくと、こもり声の改善に役立つという話もある。
その声、しばらく様子を見ていいのかの境目
ここは軽く扱いたくない部分なので先に書いておく。声のかすれが2週間以上続く、痛みがある、呼吸がしづらいと感じる場合は、生活習慣の話ではなく耳鼻咽喉科で見てもらった方がいい。声帯の老化以外に、ポリープや逆流性のトラブルが隠れていることもあるらしい。
私が経験したのは単純な「使い方の癖」だったが、これは自分で判断できる範囲を超えている場合がある。数日で治らない違和感は、話し方を工夫する前に、まず病院という順番にしてほしい。
声を老けさせている生活習慣、心当たりがあった
在宅やリモートワークが増えて、家族以外とほとんど話さない日が続くと、声帯を動かす筋肉が使われずに衰えやすいという指摘がある。私は営業なので毎日誰かと話しているつもりだったが、実際は「聞く」時間の方が長く、自分から大きな声を出す機会はむしろ減っていた。
猫背やうつむいた姿勢で話すと、声の通り道が狭くなって響きが悪くなる、というのもよく聞く話だ。この姿勢の癖については、以前40代男性の姿勢、猫背が老けて見える本当の理由と直し方でも書いたけれど、声にも見た目にも同じ姿勢の悪さが影響しているというのは、書いていて自分でも腑に落ちた。
食事も無関係ではないらしい。脂質や糖質の多い食事、飲みすぎが続くと胃酸が逆流して声帯を傷めることがあるという説明も見かけた。心当たりがある人は、正直、私だけじゃないと思う。
今日からできること、腹式呼吸とストロー発声
私が実際にやってみて続いたのは、腹式呼吸とストロー発声の二つだけだ。欲張らずにこれだけにした。
腹式呼吸は、鼻から4秒かけて息を吸って、口から8秒かけてゆっくり吐く。これを10回、朝と夜の二、三セット。最初は「これで本当に変わるのか」と半信半疑だったけれど、2週間くらいで、電話で話すときの息切れが減った気がする。感想としては「気がする」レベルで、断言はしないけれど、少なくとも損はしない習慣だと思っている。
ストロー発声は、細いストローを口に含んで「うー」と声を出しながら息を吐く方法だ。喉に余計な力を入れずに声帯を鳴らす練習になるらしく、実際にやってみると喉の締まりがふっと抜ける感覚がある。風呂上がりに1分やるだけの習慣にしている。
ハミング(鼻歌のように「んー」と鳴らす)も、喉に力を入れずに声を響かせる感覚をつかむのにいいと言われている。これは通勤の車の中でやっている。人前でやるのは少し恥ずかしいので、そこは各自の環境に合わせてほしい。
電話や商談で今日すぐ直せること
トレーニングは効果が出るまで時間がかかる。でも電話や商談は今日もある。すぐできることは、話す速度を落とすことと、口を大きく開けることの二つだけだと思っている。
早口だと聞き間違えられやすいし、対面よりワンテンポ遅らせるくらいでちょうどいい。口の中でモゴモゴ言わずに、一語一語、口を大きく動かして話すだけでも「こもる」印象はかなり減る。私は電話をかける前に、意識して口を縦に大きく開けて「あ、い、う、え、お」と一度動かすようにしている。傍から見たら変な顔をしているかもしれないが、それで実際に聞き返される回数は減った。
顔が見えない電話では、声のトーンや話す速さが印象の大部分を占めるという話もよく聞く。姿勢だけでなく、口の開け方一つで年齢の印象が変わるというのは、直接会う婚活の場よりも電話の方が、実は差が出やすいのかもしれない。
口を大きく動かして話す習慣がつくと、ついでに口臭にも意識が向くようになった。人と話す機会が多い人ほど、口の中の状態は他人事ではない。この辺りは40代男性が口臭を自分で確かめる方法、聞けない私が試した順番にも書いたけれど、声と口臭は案外、同じタイミングで気になり始めるものだと思う。
口臭ケアの基本(舌ブラシとマウスウォッシュ)をまとめページで確認する教室に通うという選択肢について
ここまで書いた自分でできる範囲を1ヶ月くらい試して、それでも変化を感じられない、あるいはもっと本格的に直したいという場合は、ボイストレーニングや話し方教室という選択肢も現実的だと思う。オンライン専業で価格が抑えられているところ、講師がナレーターや声優出身のところ、短期集中型のセミナー形式のところなど、形はいろいろある。
料金の相場については、今回調べた範囲では公式サイトに明確な金額を出していないところが多く、正直な数字を書けるほどの確認ができなかった。ここで無理に金額を書いて後で違っていたら意味がないので、興味がある人は各教室の公式サイトで直接確認してほしいというのが、今の私の誠実な答えだ。
私自身はまだそこまで踏み込んでいなくて、ストロー発声と腹式呼吸だけで様子を見ている段階だ。教室に通うかどうかは、1ヶ月くらい自分で試してから決めても遅くないと思う。
声だけの問題じゃないと分かった話
声を直そうと調べ始めて気づいたのは、結局これも「清潔感」と同じ話だということだ。姿勢が悪ければ声もこもるし、猫背は見た目にも影響する。口を大きく開けて話す習慣は、発音だけでなく口臭のセルフチェックにもつながる。全部つながっている。
40代男性の清潔感は何から?私が変わった順番5つとセルフチェック10項目でも書いたけれど、身だしなみの見直しはどこか一つだけ直して終わり、というものではなく、気づいたところから一つずつ潰していく作業だと思う。声もその一つに過ぎない。
あの日、電話で「お父様ですか」と言われてから半年くらい経った。今は同じ相手に電話をかけても、聞き返されることは減った。声が若返ったとは言わないけれど、少なくとも「聞き取りやすい」とは言ってもらえるようになった。今日、電話をかける前に一度、口を大きく開けて「あいうえお」をやってみるところから始めてみてほしい。それだけでも、今日の電話の印象は変わるはずだ。