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40代男性の姿勢、猫背が老けて見える本当の理由と直し方

会議室の窓ガラスに、自分の後ろ姿が映った。首が前に出て、背中が丸まって、なんだか実年齢より5歳くらい上に見える男が立っていた。それが自分だと気づくのに、2秒くらいかかった。

私が42歳の頃の話だ。娘に「お父さん、歩き方おじさんっぽい」と言われた少し後だったと思う。顔のシミやほうれい線は鏡で毎朝チェックしていたのに、姿勢なんて意識したことが一度もなかった。多分、この記事にたどり着いた人も似たようなきっかけがあったんじゃないだろうか。マッチングアプリの写真を撮ってもらって「あれ、思ったより猫背だな」とショックを受けたとか、会社のエレベーターの鏡でふと自分の立ち姿を見てしまったとか。

先に結論めいたことを言うと、40代以降の「老けて見える」の正体は、顔よりも先にシルエットで判断されている可能性が高い。至近距離なら肌の変化が目立つが、数メートル離れた場所からパッと見て年齢を判断する材料は、実は姿勢のほうが強い。そしてこれは、お金をかけずに今日から手をつけられる部分でもある。

なぜ顔より先に「姿勢」で年を判断されるのか

考えてみれば当たり前の話で、初対面の人と会うとき、最初に視界に入るのはシミやシワではなく全身のシルエットだ。背中が丸まって首が前に出ていると、それだけで「くたびれた人」という印象がついてしまう。逆に姿勢さえまっすぐなら、多少肌が疲れていても、遠目には若々しく映る。

これは私が営業をしていて肌で感じたことでもある。初対面の相手に会う数秒間で、こちらの印象はほぼ決まる。その数秒に、顔のディテールを見られていることはまずない。見られているのは「立ち方」と「歩き方」だ。20年営業をやってきて、途中からそのことにようやく気づいた。遅いと言われればその通りなのだが。

デスクワークが猫背をつくる、単純な力学の話

40代になって急に猫背が進んだと感じる人は多いと思うが、これは加齢だけの問題ではなく、生活習慣の積み重ねが表に出てきた結果という側面が大きい。

姿勢が良い座り方というのは、骨盤がやや前傾していて、背骨がゆるやかなS字を描いている状態だ。ところが長時間のデスクワークだと、骨盤が後ろに傾いて、腰を背もたれにベタッと当てるように座ってしまいがちになる。すると背中が丸まる。さらにパソコンの画面を覗き込もうとすると顔が前に出て、丸まりがもっと強くなる。この一連の流れが毎日8時間くらい繰り返されると、体はその形を「普通」だと覚えてしまう。

厄介なのは、頭の重さだ。人の頭はだいたい5kg前後あると言われている。これがまっすぐ体の上に乗っていればいいが、少し前に出るだけで首や肩にかかる負担は跳ね上がる。ボウリングの球を片手で前に突き出しているようなものだと考えると、肩がこるのも無理はないと思えてくる。

猫背が進むと、首や肩まわりの筋肉がこわばって血流やリンパの流れが悪くなり、顔がむくんだりくすんだりして輪郭がぼやけて見えることもあると言われている。効果を断定できる話ではないが、「姿勢が崩れると顔まわりの印象にも影響しうる」という感覚は、鏡を見ていると私自身も納得できるところがある。

壁に背中をつけてみる、それだけでいい

自分の猫背がどの程度なのか、実は多くの人が正確に把握していない。私もそうだった。「まあ人並みだろう」と思っていたら、壁に背中をつけてみて愕然としたことがある。

やり方は単純で、壁を背にして立ち、かかと・お尻・肩甲骨・後頭部を壁につけようとするだけだ。これが自然にぴったりつけば問題は少ない。多くの人は、後頭部が壁から数センチ離れないとつらいはずだ。そこで初めて、自分がどれだけ首を前に出す癖がついているかが分かる。

お金もかからないし、1分もかからない。まずはここから確かめてみてほしい。何かを買う前に、自分の状態を知ることが先だと思う。

デスクワーク中にできる、たったひとつの習慣

姿勢を根本から変えようとすると、たいてい三日坊主で終わる。私も「一日中背筋を伸ばして座る」を目標にした時期があったが、1時間もすると忘れて元に戻っていた。意志の問題ではなく、そもそも人間はずっと同じ姿勢を保つようにできていないんだと思う。

だから私が今も続けているのは、意志に頼らない方法だ。30分から1時間に一度、スマホのアラームを鳴らして、そのタイミングで肩甲骨を寄せる、あるいは天井を見上げて首の前側を伸ばす、というのを10秒だけやる。たったこれだけ。姿勢を「維持する」のではなく「リセットする」という発想に変えたら、続けられるようになった。

モニターの角度も地味に効く。顎を軽く引いた状態で、目線とパソコン画面が20〜30度くらいの角度になるように調整すると、自然と頭が前に出にくくなる。私はモニターの下にノートパソコンの空箱を重ねて、無理やり高さを出している。見た目は格好悪いが、机に台を置くだけでも効果は変わる。

もう少し積極的にやりたい人には、プランクを20秒から30秒ほど、無理のない範囲で試してみるのも一つの手だと聞く。体幹が弱いと姿勢を保つ土台自体がぐらついてしまうので、猫背対策と体幹づくりは地続きだと感じる。ただしこれは効果を保証できる話ではないし、腰や関節に不安がある人は無理をしないほうがいい。

矯正ベルトはどうなのか、正直なところ

猫背対策と検索すると、姿勢矯正ベルトが必ず出てくる。私も一時期、藁にもすがる思いで気になっていた時期がある。

ここで正直に書いておきたいのだが、比較サイトの説明を見ると「猫背矯正ベルトとは、装着時に正しい姿勢をサポートしてくれるベルトのことで、猫背そのものを治す効果があるわけではない」という注記がある。つまり、着けている間は姿勢を意識しやすくなるが、それ自体が猫背を根本から改善するものではない、ということだ。この一文だけでも知っておく価値があると思う。

男性向けに作られたベルトの中には、幅広い身長・体重に対応するサイズ設定のものもあるようで、軽量なタイプが増えている印象もある。使うこと自体を否定するつもりはない。ただ、ベルトに頼りきって普段の座り方を見直さないと、外した瞬間に元通りというのはよくある話だ。私は「意識づけの補助輪」くらいの位置づけで捉えている。

もし整骨院などに通う場合、週に数回のペースで首・肩・腰の姿勢を診てもらいながら続けている人もいるようだが、これは費用も時間もかかる話になってくる。まずは無料でできる壁立ちチェックとリセット習慣を1〜2週間試してみて、それでも変化を感じないときに考える選択肢、くらいで十分だと思う。

写真に写る姿勢は、思っている以上に見られている

マッチングアプリのプロフィール写真で、猫背のまま撮られてしまって損をしている人を何人も見てきた。顔は悪くないのに、写真全体の印象が「疲れた人」になってしまっている。これは表情や照明の前に、まず立ち姿・座り姿の問題であることが多い。

マッチングアプリの写真で老けて見える男の直し方、私の場合でも書いたが、写真を撮る数秒前に軽く胸を開いて肩を下げるだけで、写り方はかなり変わる。プロに撮ってもらう選択肢もあるので、気になる人は一度検討してみてもいいかもしれない。

まず揃える基本の3つをまとめページで確認する

顔だけ整えても、後ろ姿で判断される

これまで肌や髪型など、顔まわりの手入れについて何度か書いてきた。40代男性が老けて見える原因7つでも触れたが、清潔感というのは細部の積み重ねであって、姿勢もその一部でしかない。ただ、姿勢は他のどの手入れよりも「離れた場所から」「一瞬で」印象を決めてしまう項目だと、今は思っている。

服装や身だしなみを一気に変えなくてもいい。40代男性の清潔感は何から?でも書いたように、優先順位をつけて一つずつ潰していけば十分だ。今日できることがあるとすれば、それは壁の前に立って背中をつけてみることと、パソコンにアラームをひとつ仕掛けることくらいで、実際それだけで十分だと私は思っている。

2年前の私が窓ガラスに映る自分にぎょっとした夜から、今も完璧な姿勢が身についたわけではない。ただ、10秒のリセットを繰り返しているうちに、以前ほどガラスに映る自分を避けなくなった。それくらいの変化で、今のところは十分だと思っている。